- 企業の食堂で提供させていただきました薬膳をご紹介します。
薬膳について
薬膳とは“食べ物は薬である”という医食同源の考えに基づき、中医学(中国医学)に裏づけされた食事です。
薬・・・「くさかんむり」野菜の原種は草
膳・・・「つきへん」 月は体を表す(例えば肝、肺、腎のように)
日本では1980年頃、テレビ放送で中国四川省の「同仁堂」の薬膳の食事が紹介され、その後、広まってきました。中国で薬膳という言葉が使われたのが、いつ頃か定かではありませんが、古代から食と薬を一体として捉え、食と健康が重視されてきました。特に皇帝のための食事は「食医」と呼ばれるお医者様が、日々の体調に合わせた料理をお出ししていました。今でも『宮廷料理』になごりがあります。
『旬の野菜を食べて体を善くして楽になり楽しく過ごしましょう』
薬膳は私たち栄養士が、学生時代から勉強してきた栄養学とは異なる概念を持つ中医学という学問に則った食事です。
西洋医学が、器官や細胞、遺伝子などをみていくミクロの視点に立つのに対して、東洋医学は「人間は自然の一つである」というマクロの視点から見ています。特定した内臓を治療する西洋医学に対し、東洋医学は全体のバランスを考慮するので、ファジーな面がありますが副作用も少ないといわれます。中国伝統医学の「黄帝内経」「神農本草経」「本草綱目」が基本にあります。
特徴は、栄養学(西洋医学)は、カロリー、
蛋白質、ビタミン、カルシウムなど個人の目標量を設定し、栄養を補給、+(プラス)することを考えます。薬膳(東洋医学)は季節に合わせ、冷と温を考え、自然界の生命力を取入れ利用し、体内から出すこと、-(マイナス)を考えます。
テスティパルグループでは臭いの強すぎる生薬や扱い方の難しい生薬を使用せず、どなたにも効果のある予防のための生薬・穏やかな生薬・薬膳食材を使用し、召し上がっていただいています。
例 |
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東洋医学(薬膳) |
西洋医学(栄養学) |
予防 |
体を強くする |
滋養強壮作用のある自然界の生薬・食材を利用する |
個人の目標栄養量に見合った分量の食品を食べる |
治療 |
風邪をひいた |
体を温かくするニラ・しょうが・ねぎを食べる |
対処療法として頭痛やせき止めの薬を飲む(症状を止める) |
治療 |
貧血を治したい |
鉄分があっても体の中で利用できていないので生薬などを使い、利用する力をつける |
鉄分が欠乏していると考え、鉄分の多い食品を食べる |
薬膳食材
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(上段:左から)
はと麦・パンプキンシード・花椒)
(下段:左から)
紅花・緑豆・八角)
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クコの実(枸杞子)
クコは、河原・土手・庭に生えるナス科の落葉低木で、夏に薄紫の花が咲き、秋に赤い実を付けます。日本では、平安時代から強壮薬として知られていました。中国では、「クコ美人」という言葉があり、眼や肌の老化を防ぎ、肝臓や腎臓の機能を高めて疲労回復に役立ちます。視力が良くなり、頭脳明晰、根気をつけるといわれています。
【効能】
高血圧、低血圧、糖尿病、慢性のせき、冷え性、痛み、めまい
葉(クコ葉)・・・お茶、若葉は薬膳に利用
実(クコ子)・・・薬酒・薬膳
根(地骨皮)・・・薬として利用
【栄養成分】
カロテン・ビタミンA・鉄・カルシウム
【利用方法】
クコの若葉・・・混ぜご飯(ジャコや佃煮などとご飯に混ぜて利用)・お浸し・和え物
クコの実・・・粥・八宝菜・炒め物・煮物・サラダ・お菓子・スープ・クコ酒
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金針菜
ユリ科の蕾の乾燥したもので
、色が黄色で形状が細いところから金針菜と呼ばれます。菜食主義者の理想的食品でガンジーが常食していたと言われています。
【効能】
体質遺伝でない原因の明確なうつ病・不眠・自律神経失調症・貧血
【栄養成分】
鉄分・ビタミンA・カルシウム
【利用方法】
切干大根と煮物・野菜と金針菜のいため物
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白きくらげ(銀耳) ・ 黒きくらげ(木耳)
きくらげには、黒きくらげと白きくらげがあります。
【効能】
黒きくらげは、貧血に良く、なつめ(大棗)などと一緒に食べると効果があります。
白きくらげは、強壮作用や老化防止作用があり、疲れた時や、せき、のどの痛み、便秘、生理不順に利用します。また、きのこ類の中でも、特に食物繊維が多く、ノンカロリーで美容に役立ちます。水で戻すと、約10倍に増えるので、使用量に気をつけましょう。
【栄養成分】
黒きくらげ・・・鉄が白きくらげの10倍多く含む
白きくらげ・・・カルシウム・カリウム・リンが豊富
【利用方法】
白きくらげ・卵・クコの実の炒め物(塩・コショー・スープ味)
白きくらげ・牛肉・卵・赤パプリカ・ピーマンの炒め物
白きくらげ・鶏レバー・白ねぎ・くこの実・土生姜のスープ
白きくらげ・グリーンアスパラ・くるみの炒め物
白きくらげとトマトのスープ
デザートとして白きくらげとくこの実のフルーツ和え
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はとむぎ(ヨクイニン)
名前の由来は「鳩が好んで食べる」という説があり、全国各地の川沿いなどに自生する「ジュズダマ」と似ています。生薬名は「ヨクイニン」。
【効能】
日本で古くからイボトリに使用しており、体の中の水分や血液の代謝を促し、解毒する効果があります。水分代謝をよくするので、尿の出がよくなり、むくみの解消になります。美肌効果があり、シミ、ソバカス、肌荒れを改善します。アトピー性皮膚炎にもよいとされています。最近では、細胞の異常発育を抑える作用があることから、ガンを抑える処方の中にハトムギを加えた薬もあるそうです。
【栄養成分】
他の穀物に比べ、たんぱく質を多く含み、アミノ酸のバランスが良い。
ビタミンB1、B2、カルシウム、鉄、食物繊維
【利用方法】
お粥やご飯に混ぜて炊く。
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ハスの実(蓮子)
ハスの実は、生命力が強く、2000年前の果実が発芽して話題を呼びました。語源は、実が落ちたあとが蜂の巣に似ているため『ハチス』からハスになったといわれています。インドから伝わってきたもので、仏教と関連が深く、お寺の池の観賞用に植えられています。
蓮根は日本の伝統的なおせち料理に「先が見通せるように…」と願いを込めて使われて、普段の「焚き合せ」にも欠かせないものです。
葉(蓮葉・荷葉)・・・食欲増進
実(蓮子)・・・不眠症・虚弱体質の人に良い
根(蓮根)・・・切った時の糸は「ムチン」で、血管を強くします。貧血防止。美肌。
【効能】
精神安定・滋養強壮・消化吸収
【栄養成分】
カリウム・カルシウム
【利用方法】
ハスの実入り粥・ハスの実と栗のおこわ・ハスの実入りスープ・ハスの実甘納豆
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紅花
エジプト原産でキク科の草花。日本には奈良時代にインド・中国から伝えられました。
【効能】
月経不順など血行障害の治療に用いられ、冷え性、更年期障害に利用されています。
【利用方法】
切花や着色料・口紅の原料・染料・ベニバナ油(サフラワーオイル)
- 緑豆(文豆小豆)
日本では、主に春雨やもやしの原料になっており、インドでは豆カレーに使い、中国では、スープやお菓子などにも使います。
【効能】
身体にこもった熱を利尿して出します。
【栄養成分】
鉄・サポニン・リン・マグネシウム・胴
【利用方法】
緑豆粥・ポタージュスープ・緑豆ぜんざい・緑豆ドリンク
- 胡桃
くるみは紀元前7000年の昔から食用にしていた最古の木の実であり、西(胡)のペルシャからシルクロードを渡り中国、朝鮮、日本に伝わり(胡桃の字があてられている) 日本では縄文時代に、すでに食べられていたそうです。最近はメラトニンという抗酸化物質が含まれていると話題になっています。
【効能】
美容・老化防止・高血圧などの効果があるといわれています。
【栄養成分】
食物繊維、ビタミンB1、ビタミンE、鉄分、ミネラルが豊富
- 銀杏
イチョウの実(正確に言うとイチョウの実の種)が銀杏(ぎんなん)。実がなる頃、独特の臭いを放つ。落ちた実を、土の中に埋めるか、水につけておくなどして、外の実の部分を腐らせて洗い流して使用する。アルカロイドという毒を含むので大人で7ヶ程度に留めておきます。
【効能】
小児夜尿症・慢性気管支炎・免疫力の向上
【栄養成分】
レシチン・アスパラギン酸
【利用方法】
茶碗蒸し・炒り銀杏
- 紅なつめ(大棗)
生薬。消化器系を丈夫にし、痛みを和らげイライラを鎮め、精神安定効果があります。子供の夜鳴き、ヒステリーの特効薬。
【効能】
体力、筋力増強・肝臓の保護・鎮咳・のどの痛み・風邪の予防等
【栄養成分】
果糖・アミノ酸・たんぱく質・ビタミンA・B2・C・カルシウム・リン・鉄分・マグネシウム・カリウム
【利用方法】
スープ・菓子
- 松の実(松子)
仙人の食べ物として有名で、老化防止に役立ち、健脳食と言われています。血流をよくし、胃腸や肺の働きを助け、せき・たんを鎮めます。
【効能】
滋養強壮・便秘解消(下痢ぎみの時は止める)・美肌効果があり、
細胞を活性化させます。近年、老人性気管支炎によいと言われています。
【栄養成分】
ビタミンB2
(新陳代謝を盛んにする)・ビタミンC(肌に良い)・ビタミンE(若返りのビタミンと言われている)・
鉄(貧血に良い)